仕事は自身の生活を支える基盤です。
お金を稼ぐ上で避けては通れない仕事ですが、「仕事に行きたくない」「いっそのこと辞めてしまいたい」など、ネガティブな気持ちになることもあります。
仕事に行きたくないという考えを「甘え」と捉え、悩む人も多いでしょう。
この記事では、「仕事に行きたくない」は本当に甘えなのか、そして、休みたい程にツライときの乗り越え方について探っていきます。
『仕事に行きたくない=甘え』はNG! 仕事に行きたくないと感じる理由ランキングTOP10

仕事に行きたくないと感じる人の多くは、何かしらの理由を抱えています。
本人に理由が分からなくても、仕事上でいろいろなことが積み重なり大きなストレスとなっている可能性があるため、安易に『仕事に行きたくない=甘え』とするのは危険です。
仕事に関するコンテンツや求人サイトを運営しているビズヒッツでは、全国の働く男女500人(女性329人/男性166人/未回答5人)を対象に、「仕事に行きたくない理由」や「行きたくないときの対処法」についてアンケートを実施しました。
以下は、アンケートをもとに、仕事に行きたくない理由をランキング形式にしたものです。
ランキング | 仕事行きたくない理由(複数回答可) | 人数 |
---|---|---|
1位 | 人間関係に悩みがある | 155人 |
2位 | やりたくない仕事がある | 50人 |
同率2位 | 起きるのがつらい | 50人 |
3位 | 仕事が忙しい | 44人 |
4位 | めんどう / やる気がおきない | 34人 |
5位 | 疲れがとれない | 32人 |
6位 | 体調が悪い | 26人 |
7位 | やりがいを感じない | 23人 |
8位 | 仕事でミスをした | 21人 |
9位 | 通勤が苦痛 | 20人 |
10位 | 家にいたい | 12人 |
『人間関係』が最も多くの回答数を集めた結果となりました。
2位以下を圧倒していることから、多くの人が人間関係にストレスを感じているようです。
アンケートが複数回答可となっているように、仕事に行きたくない理由が必ずしもひとつとは限らず、複数の理由が合わさった結果、「仕事に行きたくない・・・」という考えに至ってしまうこともあります。
ストレスは、心身に異変を引き起こす原因です。
甘えと断定して無理するのは大きなリスクと言えます。
仕事に関する嫌なことを紙に書くなどし、ストレスの正体を明確にすることが大切です。
仕事に行きたくないと感じるのは心からのSOSかも
ストレスや疲労がピークを迎えると、心身に異変が現れることがあります。
仕事に行きたくないという拒否反応は、ピークを迎える前のサインの可能性が高いです。
もし、ここで紹介する症状がすでに出ている場合は、甘えという考えは捨てて、休暇を取って病院に行くなどの対策をする必要があります。
出勤の朝に泣いてしまう
仕事のことを考えたり、出勤したりするときに泣きたくなってしまう状態は危険です。
理由が分かっていれば対処できる可能性もあります。
しかし、根本となる原因が分からずに泣いてしまうのは、疲労やストレスが限界を超えているという心と身体からのSOSです。
「仕事がイヤだから」という単純な理由では無いことが多々あります。
仕事に行こうとすると吐き気・腹痛を引き起こす
仕事に行こうとすると吐き気や腹痛が起きるのは、ストレスが原因の可能性が高いです。
人には、24時間体制で体の機能を制御する『自律神経』があります。
自律神経は、身体が活発なときに優位になる『交感神経』と休息しているときに優位になる『副交感神経』の2種類がありますが、ストレスはそれらを乱す原因のひとつです。
神経 | 胃 | 腸 |
---|---|---|
交感神経 |
・胃の動きを減らす ・胃酸の分泌を減らす ・胃粘膜の分泌を減らす |
・腸の動きを減らす |
副交感神経 | ・胃酸の分泌を増やす | ・腸の動きを増やす |
ストレスによる自律神経の乱れによって、交感神経が胃粘膜の分泌を減らしているところに、副交感神経が胃酸分泌を促し、吐き気や腹痛を引き起こします。
吐き気や腹痛がストレスだと感じる方は、無理をするのは控えることが懸命です。
仕事が憂鬱で眠れない
「仕事に行きたくない」という気持ちが強くなっている状態です。
本人も根本的な原因が理解できていないケースも多々あります。
翌日の仕事のことを考えると憂鬱になるのは、誰もが経験しています。
そのため、周囲から理解されにくく、「甘え」と言われることもしばしばあるのが難しいところです。
睡眠は心身の健康の上で重要な要素です。
健康を損なう前に、充分な休息が取れるよう、休暇を取ったり転職を検討したりすることをおすすめします。
仕事に行きたくないとき絶対にやってはいけないこと

『仕事に行きたくない=甘え』と考えて無理をすると体調を崩したり、心にダメージを負ってしまったりする他、突発的な行動や投げやりな考え方をしてしまうこともあります。
ここでは、会社で自分の立場を弱くしてしまうNGな行動をまとめました。
行きたくないのに無理して仕事に行く
仕事に行きたくないという気持ちがある中で責任感から行き続けても、疲労やストレスをさらに溜め込んでしまう結果になります。
仕事に行きたくないという気持ちが何日も続いている場合は、体調不良などが現れる前にしっかりと休暇を取ることも自己管理の内です。
無断欠勤をして周囲を困らせる
社会人は休暇を取ることにも責任を伴います。
無断欠勤は周囲に迷惑を掛ける行為です。
連絡が取れないことを不安に思う人もたくさんいます。
社員と連絡が取れない場合、会社は緊急連絡先に電話をするなど必要があります。
大事になってしまうこともあるので、しっかりと欠勤連絡をすることをおすすめします。
誰にも相談せずに1人で悩む
「甘えていると思われるかも」、「こんな些細なことでって言われそう」などと思い込み、悩みを誰にも相談できずに1人で抱えてしまう人もいますが、仕事の悩みに関しては、1人で悩んでも解決しないことが大半です。
勇気を持って同僚や友人、家族などに相談することで、悩みが解消できたり、仕事に対してポジティブな考え方を持てたりすることがあります。
勢いで仕事を退職する
気持ち任せに勢いで退職をしても、経済的な困窮に陥ったり、ブランクが生まれて再就職がしにくくなったりと、デメリットばかりが目立ち、仕事のストレスや疲労から解放される以外にメリットは無いと言えます。
仕事を退職するなら、計画性を持つことが大切です。
例えば、転職先を決めてから退職をすれば退職後の不安も無くなりますし、失業保険が給付される3ヶ月後まで生活できる貯金があれば辞めたいと思ったときに辞められます。
仕事に対してネガティブになりにくくする方法

休息や睡眠をしっかりと取る
休息や睡眠が十分に取れないと、疲労が回復しにくくなり、ストレスにも弱くなります。
仕事で大きなストレスがある人の中には、休日に好きなことをしたいと考える方もいますが、心身の休息に専念することも必要です。
国立精神・神経医療研究センターは、実験によって1日4時間半程の寝不足が5日間続くと、うつ病や統合失調症などと似た脳機能の変化が起きることが分かったと公表しており、1日6時間以上の睡眠を取ることで、うつ病を防ぐ効果もあります。
ストレスを感じやすくなった自覚がある人は、まずは休息・睡眠を取るのがおすすめです。
生活に運動を取り入れる
ストレスや疲労に耐性のある心身を作る上で効果的なのが『運動』です。
運動を生活に取り入れることによって、多幸感を感じる物質『セロトニン』や『エンドルフィン』が供給され、ストレスが解消する他、運動による心地良い疲労感は良質な睡眠に繋がります。
ウォーキングや自転車など、一定のペースで20分〜30分行える運動がおすすめです。
厚生労働省ではストレッチを推奨しています。
『こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト』では、ストレッチがもたらす心身への効果を楽しく解説しています。
日光を浴びる
運動以外にもセロトニンの分泌を促す方法があります。
それが『日光浴』です。
日光は、セロトニンの分泌を促すだけでなく、ビタミンDも生成します。
ビタミンDは、免疫機能を調整したり、健康な骨を維持したりするビタミンです。
欠乏すると、うつ病になるリスクが上がるとされています。
意識的な日光浴は、ストレスに強い心身を作るのに効果的です。
日光浴は、春〜夏は15分、秋〜冬は30分程度と短い時間で効果を発揮します。
甘い食べ物を食べる
疲労やストレスを感じるのは、交感神経が優位になっている証拠です。
イライラしやすかったり、たくさんのエネルギーを必要としたりしますが、そんなときに甘い物を食べると、エンドルフィンによる幸福感が得られ、ストレスを和らげます。
ただし、食べ過ぎは禁物です。
エンドルフィンは「報酬系」と呼ばれる神経回路を刺激するため、仕事のストレス・疲労の緩和に甘い物に頼っていると、依存してしまう恐れがあります。
規則正しい生活を送る
不規則な生活は自律神経を乱れさせ、体調不良や精神的な病気を引き起こす原因です。
適度な運動、バランスの良い食事、十分な休息を基本に、夜に寝て朝に起きるという規則正しい生活を送ることで、自律神経が整い、ストレスや疲労に強い心身を作れます。
仕事にどうしても行きたくないときの対処法

通勤時や仕事終わりに楽しみを用意する
早めに家を出て、職場近くのお店でおいしい朝食を探したり、仕事終わりに友人と待ち合わせしてショッピングをしたりと、通勤時や仕事終わりに楽しみを用意することで、仕事に対してポジティブな気持ちが生まれることもあります。
連続休暇を取ってゆっくりと休む
仕事に行きたくないと相談しても、甘えと返されてしまいがちです。
そのせいで、自分でも自身の考えを甘えだと思い込み無理してしまいます。
慢性的に仕事に対してモチベーションが上がらなかったり、ストレスや疲労で体調不良や精神的不調が起きているときは、しっかりと休暇を取るのが懸命です。
数日であれば有給休暇、体調不良などがある場合は休職の手続きをおすすめします。
有給休暇は前日までに申請しておくと安心
有給休暇は、「雇い入れ日から6ヶ月継続して勤務し、全労働日の出勤率が8割以上」の社員に10日以上付与しなければならないと、労働基準法で定められています。
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えられなければならない。
有給休暇は分割取得と連続取得が認められています。
取得する際に注意したいのが、欠勤当日の取得です。
労働時間や休暇は、『暦日単位(午前0時~午後12時までを一区切りとする)』となっているため、欠勤日当日に取得申請をすると事後報告として会社は拒否できます。
休むと決めたら、前日までに有給休暇取得申請を出しておくと安心です。
仕事が原因で病気やケガをしたら休業補償の手続きをする
休業補償とは、業務を原因とする病気やケガを負った従業員の生活を守るために支給されるものです。
業務ができない状態と認められれば「給付基礎日額の60%×休業日数」、労災認定を受けていれば、休業特別支給金として別途「給付基礎日額の20%×休業日数」が支給されるので、仕事を休みながら経済的困窮を回避することができます。
平成23年12月には、厚生労働省が「心理的負荷による精神障害の認定基準」を定めており、うつ病をはじめとする精神的な病を患っている方も安心です。
信頼できる人に相談をする
愚痴や相談を聞いてもらうだけでも、胸につかえたものが取れるものです。
また、悩みやモチベーション低下を改善する糸口が得られることもあります。
ただし、闇雲に相談しても「甘え」と言われてしまう可能性が高いです。
甘えと言われないためには、紙に仕事で不満に思っていることを書き出すなどして、仕事に行きたくない理由を明確にする必要があります。
自分で自分を理解していれば、話す内容も変わり、相手も話が聞きやすいはずです。
異動・転職を検討する
仕事に行きたくないと日頃から思っており、それが仕事に関することであるという自覚があるのなら転職を検討してみるのも手です。
転職エージェントを利用すれば、仕事と転職活動の両立が叶うでしょう。
転職エージェントとは
求人のピックアップや書類の添削、企業とのやり取りなど、転職活動を全面的にサポートしてくれるサービスのこと。
「転職はしたくない」という方は、異動願いもおすすめです。
会社は同じでも、同僚や環境、業務内容が変われば仕切り直せます。
失業保険の給付は2ヶ月~3ヶ月程掛かる
すでにストレスや疲労で体調不良などを起こしているのなら、退職してしばらく休み、心身を回復させる時間を取るのも有効的です。
自己都合退職は、失業保険が給付されるまで3ヶ月程度掛かるため、給料3ヶ月分と同程度の貯金があると安心して退職できます。
自己都合退職 | 会社都合退職 | |
---|---|---|
失業保険の給付開始 | 2ヶ月7日後 | 7日後 |
失業保険の給付日数 | 90~150日 | 90~330日 |
失業保険の給付制限 | あり | なし |
退職金 | 減額されることがある | 全額受け取れる |
経歴の書き方 | 一身上の都合により退職 | 会社都合により退職 |
尚、失業保険の手続き後、短期間で再就職をすれば『再就職手当』が給付されます。
再就職手当の支給額
◆失業保険の給付日数の2/3以上支給日数を残して就職:残日数の70%
◆失業保険の給付日数の1/3以上支給日数を残して就職:残日数の60%
まとめ|『仕事に行きたくない=甘え』じゃない!

仕事に行きたくないという気持ちは、誰もが一度は経験します。
そのため、ちょっとしたことであれば「甘えだよ」と返されてしまうことが多いでしょう。
自分の考えを甘えだと思ってしまっている人もいます。
しかし、ストレスや疲労の溜まり方、物事の考え方や感じ方は人それぞれです。
他人が甘えと思うようなことであっても、自分自身がツライと感じているのなら、しっかりとその気持ちと向き合い、対応することをおすすめします。